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ブログ引っ越し中・・・過去記事から転載(16/01/01)シナリオを読んでみよう!

過去記事を転載(16/01/01)

 

90年代くらいまで昔はシナリオ本とか図書館にいかないと、なかなか目にする機会なかった。今現在シナリオは通販でも買えるし、電子書籍でも出てる。いい時代になりました。

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@シナリオを読もう

「相棒 シナリオ傑作選」を読んだ。その感想を書こうと思ったのだけど、シナリオを読んだことがある人ってどれくらいいるんだろう?という上からの考えを持ってしまった筆者である。そこでみなさんにシナリオ(脚本)を読むことを進めてみたい。

本で物語を楽しむ方法というと、マンガや小説があるが、シナリオという手もある。といっても、なかなか本屋さんでみかけることはないだろう。映画や文芸といったマニアックなコーナーにちょろっと置いてある感じだろうか。そもそも出版数が少ない。だいたいシナリオというものは、映画やドラマなど映像作品の元になるもの。設計図のようなもので、完成品である映像のほうには注目が集まっても、設計図に目を通したいというのは、かなり限られてくるということになる。ラーメンは食べたいけど、スープ造りの過程を見たい人は少ないもんね。ただ、このシナリオと言う形、なかなか読んでみると面白いのです。

@シナリオの形式と特徴
小説は文章、マンガは絵+文字という書式があるが、シナリオは以下のような形で書いてある

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1 駅前の横断歩道(夜)
2   街はクリスマス前で騒がしい
3   横断歩道を渡る洋平(25)と聡子(22)
4 洋平、急に立ち止まって、聡子をみる
5 洋平「結婚してくれないか」
6   聡子、うつむく
7 聡子「すぐに返事はできないな」
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先頭の文字は単なる番号です。
まず1がシーン名。今どこの場所にいるかを表します
2,3,6がト書きというもの。その場所の様子や、人の動作などを表す部分です。
4,5,7が人物の台詞ですね。シーン、ト書き、台詞の三つの組み合わせで物語が展開されていくことになります。簡単でしょ?・・・・すいません簡単すぎてわからない場合は、他の方のサイトですが、こちらでもみていただければ

http://kyakuhonkakikata.com/rulesofscreenplay

さて、みなさんにシナリオをオススメする理由、それはスピーディだということです。小説読んでてかったるく感じることはないですか?たとえば上に書いたシーン、「街はクリスマス前で騒がしい 」ですが、小説で書くとするならば

「街では赤いサンタが道行く人に必死の形相でチラシを配っているが、見向きもされない。ありがたい存在のはずのサンタが軽々しく扱われているのを見て、洋平は苦笑いした。横断歩道を渡る人々には笑顔もあれば、苦虫をかみつぶした人・・・・」

など、描写がまだるっこしいワケですよ。そこがシナリオは違う。「クリスマス前で騒がしい 」と書けば、読んでる人がぽーんと頭の中にクリスマス前の人混みを想像する。そして台詞がくる。テンポのいいスピード感で物語が楽しめるというメリットがあるんですね。※1

シナリオを楽しめる、というのは最近の人が映像作品に慣れているから、というのがあります。これまでに大量の映像を見ていることで「クリスマス前で騒がしい 」という一文で、その光景を頭の中に描ける能力をみんなもっているということ。逆に小説がかったるく感じるのは、映像に慣れてしまっていて、文字を読むというスピードが、感覚にあわなくなっているのではないでしょうか。おそらくラノベ携帯小説など、読みやすい文章が受けている理由もそのあたりにあるのでしょうし、最近の売れている小説の中にも情景描写などがあっさりしているものが出てきているという状況もあります。ドラマのノベライズ版も、台詞主体で文章に凝っているものは少ないです。小説を読んでる人、小説ファンの人には不満があるでしょうが、普段映像しか観ない人に読んでもらう文章となると、そういう工夫もいるのでしょう。

つまりは映像世代が読む本として、シナリオというのは、非常におもしろい存在だといえるのです。

@映像ならではの表現
洋平がポロポーズするシーン。読んだ方はどういう光景を思い浮かべたでしょうか。
洋平のアップ?逆に聡子のアップ?二人を横からみたアングル?それとも上から俯瞰で望遠で?

ちょっと思いつくだけのものを並べてみても、かなりのパターンがあります。そしてひとつだけでなく、それぞれをつなげたり、切り替えたりという流れもあります。

それを実際に形にして、みんなが観れるものにしたのが、映像作品です。映像とはただ単に撮影するわけではありません。たとえば、プロポーズのシーンで、緊張している洋平のアップを撮るか、迷ってる聡子の表情をとらえるか、二人の対照的な姿を同時に収めるかで意味合いが違ってきます。そしてどういう流れでつなげるか。じっくりと二人の表情を映して微妙な心の揺れを表したいのか、上空からというトリッキーな視点でスピード感を持って編集し、コメディのようにするという方法もあるでしょう。

映像の撮り方、流れの切り替え、つなぎで視聴者の感情をゆさぶる。それが映像作品の妙なのです。なかなかシナリオを読むだけではわかりませんが、シナリオを映像化した作品などを観ることによって、撮影した人が映像に込める意味合い、意図することなどにも、ふれてみたいところです。

ヒットしたドラマや映画のシナリオは本になってることも多いので、読んだ後に完成品の映像をみることで、映像表現という面白い世界ものぞけることでしょう

@シナリオ独自の表現と、やっぱり小説も読もう!

シナリオにも苦手とする表現があります。たとえば心の中。シナリオは映像であるため、目に見えない部分は描くにくいのです。※2

上記のシナリオで言えば、聡子は洋平とデートしながらも、まだそこまで洋平が好きなわけでもなく、プロポーズを嫌がっています。これが小説なら聡子の心の声を書くことができますが、映像の場合はそうはいきません。映像はなにかしらの方法で聡子が嫌がってることを伝える工夫がいります。たとえばプロポーズされたときため息をつく、一緒に歩いてるときずっと携帯をさわっている、洋平が話しかけても違う方向を向いている、などで感情を表します。心の中の声は表現できないため、映像では仕草や動きで伝えることになります。

そういうと欠点のようですが、微妙な心の動きを目に見える形にするというのも映像作品の妙のひとつなんですけどもね。

ただ、こういう心の中の表現という点、目に見えない深い心の中を描くという意味では、やはり小説のほうが合っているでしょう。目に見えぬ感情を描き、流れるような言葉の組み合わせで読者の心に問いかける。これが小説の魅力なわけですよ!(最後になぜか、小説派の人へ向けたフォローをいれておく)

最後のほうで、要点が思いっきりズレましたけども、物語を読むというのは楽しいもんです。小説を読むのはちょっとなー、という方。シナリオを読んでみるのもいいですよ。そうすることで、映像作品や苦手な小説のもつ魅力的な世界が開けることでしょう。

本が売れなくなった、読まなくなったというけれど、それは本を読むことがなんだかえらそうで、大変なことだとみんなが思ってしまったこともあるでしょう。

形式にこだわらず、読みやすいものから読んでみればいいのです!

※1・・・こういうこと書いてますが、自分、小説派です。

※2・・・映像でもモノローグで心情を語らせるという手法もあります。「北の国から」の純の「父さん、そのときボクは・・・」というやつです。